
兵庫県美方郡新温泉町の湯村温泉郷にある「御宿コトブキ」が、2026年9月15日からスマートフォンを封印して眠りに向き合う新体験「眠り支度札」の提供を始める。運営は株式会社オルソダイニング(大阪市中央区、代表取締役社長・筒井達也)。“枕の神社”として知られる大阪府泉佐野市の日根神社で御祈祷を受けたお札とともにスマートフォンを専用封筒へ収め、翌朝まで手元から離す仕掛けだ。9月3日の「睡眠の日」を機に企画されたという。
御宿コトブキはこれまでも、温泉・食事・照明環境を通じて宿泊そのものを上質な睡眠へつなげる体験づくりに取り組んできた宿だ。「眠り支度札」は、そこに“就寝前の過ごし方”という新しい視点を加える。スマートフォンが生活に欠かせない存在になった一方で、SNSや動画視聴など就寝直前までデジタル機器に触れる習慣は珍しくない。旅先で意識的に手放す時間をつくることで、より深い眠りへ切り替えられないか。そんな問いから生まれた企画である。
「眠り支度札」とは何か
眠り支度札は、御宿コトブキが独自に企画したオリジナルアイテムだ。宿泊者はチェックイン時にフロントで購入し、専用封筒にスマートフォンを入れて封印する。料金は1セット1,100円(税込)で、対象は御宿コトブキの宿泊者となる。封印したスマートフォンは客自身が管理し、温泉や客室で過ごす間、手元から離れた状態を保つ。チェックアウト時にフロントで封印が保たれていることを確認してもらい、朝までスマートフォンを開かずに過ごせた人には睡眠アイテムが贈られる。使用済みのお札は持ち帰り可能で、自宅でも安眠のお守りとして使えるほか、旅の後に自身の睡眠を見つめ直すきっかけにもなるという。単に利用を控えるよう呼びかけるのではなく、封印という行為そのものを「眠り支度」として体験に変えた点が特徴だ。

“枕の神社”日根神社の御祈祷
お札の御祈祷を担うのは、大阪府泉佐野市にある日根神社である。全国でも珍しい「枕」にまつわる神社として知られ、「枕イコール睡眠」から安眠や不眠解消のご利益があるとされてきた。御宿コトブキは、この日根神社で御祈祷を受けたお札と、スマートフォンを手放すデジタルデトックスの体験を組み合わせ、旅先だからこそ日常の習慣から離れて上質な眠りに向き合う「眠り支度」を提案する。信仰的な裏付けを持つお札と、行動としてのデジタルデトックスを一つの体験に束ねる発想は、単なる「スマホを控えましょう」という呼びかけより実践しやすいはずだ。宿という非日常の場だからこそ試せる仕掛けともいえる。
体験の流れ
眠り支度札の体験は、チェックイン時の案内から始まる。希望者はフロントでお札を購入し、専用封筒にスマートフォンを入れて封印する。封印後は温泉や客室で過ごしながら、スマートフォンから離れた時間を持つ。翌朝のチェックアウト時には、フロントで封印が解かれていないかを確認してもらう流れだ。朝まで封印を保てた宿泊者には、睡眠アイテムがプレゼントされる。お札は自宅に持ち帰り、安眠のお守りとして使い続けられる。旅行中だけで完結させず、日常生活でも睡眠を意識するきっかけにしてほしいという狙いが込められている。
上質な睡眠体験をつくる「快眠セラピー」

御宿コトブキは「温泉」「食事」「睡眠」の3要素を通じて、新しい自分に生まれかわる「生まれかわりの宿」をコンセプトに掲げる。弱アルカリ泉の温泉、囲炉裏を囲みながら味わう地元食材、歳時記の色彩をテーマにした客室など、滞在全体を通じて上質な睡眠につながる体験を提供してきた。その中核が、オリジナルの「快眠セラピー」(約30分)である。睡眠医療の知見をもとに開発した独自のヘッドセラピーメソッドで、アロマの香りと静かな音楽に包まれた空間で施術を行う。施術後には、専門知識を持つセラピストによる睡眠アドバイスも受けられる。チェックイン時にはすべての宿泊者にウェルカムドリンクと自家製ウェルカムスイーツが用意されており、こうした一連の睡眠体験に、今回新たに眠り支度札が加わる形だ。なお、御宿コトブキでは13歳未満の子どもの宿泊は受け付けていない。

施設概要・アクセス情報
施設名は御宿コトブキで、住所は兵庫県美方郡新温泉町湯1561-1。アクセスは八鹿氷ノ山ICから国道9号線経由で約50分、JR浜坂駅から車で約25分(送迎あり)、大阪駅からは高速バスで約3時間(バス停から徒歩1分)、鳥取空港からは車で約45分となる。電話番号は0796-85-8970。公式サイトは https://oyadokotobuki.com/ 、公式インスタグラム https://www.instagram.com/oyadokotobuki_yumuraonsen/ でも最新情報を発信している。都市部からはやや距離があるものの、送迎や高速バスといった複数のアクセス手段が用意されており、車を持たない旅行者でも訪れやすい立地といえる。
運営会社・オルソグループについて
御宿コトブキを運営する株式会社オルソダイニングは、2015年2月設立で資本金は800万円、代表取締役は筒井達也。所在地は大阪市中央区安土町3丁目3番5号イケガミビル地下1階で、旅館業と飲食業を手がける。同社は「休息療法・栄養療法・運動療法・手技療法・地域医療」を提供する医療系グループ、オルソグループの一員だ。オルソグループは会長を鞆浩康が務め、グループ資本金は3億2000万円にのぼる。宿泊事業単体ではなく、医療・健康分野の知見を背景に持つグループであることが、今回の快眠セラピーや眠り支度札のような、睡眠の質そのものに踏み込んだ企画につながっているとみられる。

湯村温泉郷の歴史と泉質
御宿コトブキが立地する湯村温泉は、848年に天台座主・慈覚大師によって開かれたと伝わる古湯だ。開湯から1200年近くが経つ現在も泉量・泉質に衰えは見られないとされる。温泉街の中心にある源泉「荒湯」は摂氏98度に達し、毎分470リットルもの湯が湧き出す。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)で無色透明、通称「美人の湯」として親しまれてきた。神経痛や筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺などへの効能が知られる。作家・早坂暁の小説を原作にしたNHKドラマ「夢千代日記」の舞台としても知られ、レトロな温泉街の風情を今に残す。歴史ある湯と、御宿コトブキが打ち出す先進的な睡眠体験が同居する点も、この宿の企画をより興味深いものにしている。






