岩手県二戸市の金田一温泉が2026年に開湯400周年を迎える。これを記念して、金田一温泉開湯400年祭実行委員会こども女性部会(会長:大達ももこ)は、中高大学生が地域住民や高齢者から昔話・伝承を聞き取り、謎解き型の「まち歩きゲーム」を制作するプロジェクト「若者が紡ぐ、金田一温泉400年の記憶~まち歩きゲーム制作プロジェクト~」を開始した。運営はNPO法人miraitoが担い、2026年6月14日に割烹旅館おぼない(岩手県二戸市)にて第1回ワークショップを開催した。

開湯400年を迎える金田一温泉とは
金田一温泉は1626年(寛永3年)に発見されたと伝えられ、2026年に開湯400周年を迎える歴史ある温泉地だ。江戸時代には南部藩の湯治場として栄え、「侍の湯」とも称されてきた。東北地方北部の岩手県二戸市に位置し、豊かな自然環境に抱かれた静かな湯の里として長年にわたり訪れる人々を癒してきた。
現在も全国的に知られる特徴のひとつが「座敷わらし」の伝説だ。宿に泊まると幸運が訪れるとされる座敷わらしの言い伝えが今も息づいており、縁起を担ぐ観光客が各地から足を運ぶ。また、芥川賞作家・三浦哲郎氏の小説『ユタとふしぎな仲間たち』の舞台としても知られており、文学ファンにも馴染み深い地だ。400周年という節目を迎えた今、地域の歴史や文化を未来へ継承しようとするさまざまな取り組みが進められている。その中核を担う企画のひとつが、今回の若者参加型まち歩きゲーム制作プロジェクトである。

岩手県「いわて若者チャレンジ補助金」採択事業として実施
本プロジェクトは、岩手県が実施する「令和8年度いわて若者チャレンジ補助金」の採択事業だ。この補助金制度は、若者グループが地域課題の解決や地域の元気創出に取り組む独創的・先進的な事業を支援するもので、2026年度は多数の応募の中から10団体が採択されている。
本事業では、以下の4つの目標を掲げている。
若者の地域文化への理解と愛着の醸成
世代間交流の創出
「やってみたい」を「できた!」に変える成功体験の創出
地域の魅力発信の担い手育成
行政の後押しを受けながら、若者が主体的に地域文化継承に関わる点がこのプロジェクトの核心だ。補助金制度を活用することで、持続的な活動基盤が整い、ゲーム完成後の展開にも可能性が広がる。

中高生が昔話を「謎解きまち歩きゲーム」に変える
プロジェクトの主眼は、中高大学生が地域住民や高齢者から直接、昔話や伝承を聞き取り、それらをもとに謎解き型のまち歩きゲームを制作することだ。
若者たちが担う工程は多岐にわたる。地域の昔話・歴史の聞き取りから始まり、現地フィールドワーク、ストーリーや謎の企画、マップや景品の制作、テストプレイと改善まで、ゲーム完成に至るすべての工程を主体的に担う。単なるゲーム制作にとどまらず、若者自身が地域文化の継承者・発信者となる経験を重視した設計になっている。
完成したゲームは、金田一温泉開湯400周年を記念する新たな地域体験コンテンツとして公開される予定だ。温泉観光のほかにも、訪れる人が地域の歴史・文化に触れる新しい楽しみ方が生まれることが期待される。

第1回ワークショップの様子
2026年6月14日(日)、割烹旅館おぼない(岩手県二戸市)にて第1回ワークショップが開催された。高校生・大学生・地域住民ら11名が参加し、金田一温泉に伝わる昔話を学びながら、ゲーム化する物語の候補について活発な意見交換を行った。
参加者からは次のような感想が寄せられた。
「座敷わらし以外にも、お地蔵さんや狐の昔話があることを知った」
「昔話を聞けば聞くほどもっと知りたくなった」
「どんなふうにゲームにすると面白くなるのか考えるのが楽しみ」
第1回ワークショップの進行は大達ももこ氏が担当した。会場となった割烹旅館おぼないの女将が手書きで作成したチラシのイラストが参加者の目を引き、地域ぐるみのプロジェクトであることが伝わる場となった。今後も複数回のワークショップを重ね、段階的にゲームの内容を深めていく計画だ。
プロジェクトの特徴——世代間交流が生む継承の連鎖
本プロジェクトが他の地域活性化事業と一線を画すのは、若者だけで完結せず、地域住民や高齢者との対話を通じて記憶を受け継ぐ設計にある点だ。
高齢者が抱える地域の歴史や体験を若者が引き取り、現代の表現手段(謎解きゲーム)へと変換することで、単なる「記録」ではなく「体験できるコンテンツ」として後世に残すことを目指している。温泉地の観光資源としても新たな切り口となり、関係人口の拡大にも寄与することが期待される。近年、地方の温泉地では人口減少や若者離れが課題となっており、こうした若者主導の文化継承プロジェクトは地域のアイデンティティを守る取り組みとして注目度が高い。
金田一温泉の泉質・効能と観光情報
金田一温泉は岩手県北部の山あいに湧く温泉地で、豊富な湯量と穏やかな泉質が特徴だ。古くから湯治場として利用されてきた歴史があり、長期滞在で療養する文化が根付いている。
座敷わらし伝説が残る旅館は今も温泉地の象徴的な存在で、温泉目当てとは別に座敷わらしとの縁を求めて訪れる観光客も多い。また、周辺には自然豊かな景観が広がり、四季を通じて楽しめる温泉リゾートとして東北観光の拠点にもなっている。400周年を迎えた今、こうした地域の歴史的・文化的な背景を体験型コンテンツで発信する本プロジェクトは、温泉観光の新たな魅力発掘にもつながるものといえる。
施設概要・アクセス情報
金田一温泉は岩手県二戸市金田一湯田に位置する温泉地だ。IGRいわて銀河鉄道「金田一温泉駅」が最寄り駅で、東北新幹線「二戸駅」からはタクシーまたはバスでアクセスできる。
温泉地名:金田一温泉
所在地:岩手県二戸市金田一湯田
アクセス:IGRいわて銀河鉄道「金田一温泉駅」下車、または東北新幹線「二戸駅」から約15分
主催・運営・お問い合わせ
主催:金田一温泉開湯400年祭実行委員会
運営:NPO法人miraito
協力:割烹旅館おぼない ほか
TEL:070-9386-2781
Email:info@miraito.org
公式サイト:https://miraito.org/





